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談話室

宮元 芳樹 「フィリッピンと合唱」

私はいま、日本のNPO/NGO法人に資金助成をして、協働で国際協力、支援活動を行っている財団に勤務していますが、ここ数年東南アジアが中心になってきており、特に私の場合フィリピンの山奥へ行くことが年に1~2回あります。
マニラから北に向かって、車で7~8時間かかる、基本的には米作地帯ですが、地域的には、昔から、大農家や商業従事者から農機や治水や借入等で搾取された零細な貧農が多く住むエリアです。
此処で、日本のNPOのたくましい女性が中心になり、農機レンタル事業及び有機野菜の栽培及び流通事業にチャレンジしており、わが財団から何がしかのファンドを助成しております。
この女性は、アメリカの大学院でMBAを取り、大、中規模の海外資源開発や農業開発プロジェクトのコンサルテイング業務を行う傍ら、NPO法人で、ボランテイアに近い形で、前述したようなエリアでの仕事もこなしてきたスーパーウーマンです。
驚いたのは、初めて訪問した時に、2~3歳の子どもが彼女のデスクの周りで、一人遊びをしているので、この子は誰の子と聞いたら、彼女は現在子ずれで当地に来ており、託児所や預ける場所もないため、職場に連れてきているとの事でした。この子はとても愛想がよく、タガログ語、日本語、英語を駆使しながら、皆から可愛がられており、職場の雰囲気づくりに大いに貢献しているように思われました。昼になれば、近くの食堂や、弁当など持ってくるという習慣もなく、いろいろ持ち寄って適当に作られたランチを、職場のテーブルでみんなでワイワイ言いながら食べるという、これで、仕事になっているのかなと、やや、心配になる職場環境であった訳です。
彼女にこの辺のところを聞いてみると、基本的には欧米式の合理主義(今や日本の企業文化もそうかと思われますが)は全く機能しないし、またむしろ機能させないほうがよい。むしろ、我が国の得意な「和をもって貴しとなす」の方が、全体としての能率がはるかにあがるとのことでした。
閑話休題 私は、この財団の仕事を週3日、あとは二つの合唱団の練習やお世話係の仕事で1週間が瞬く間に過ぎてしまいます。時々フィリピンの報告(割とうまく行っている)をみるたびに、米作で育った日本と同じような共同村社会でのビジネスと、合唱は似ているのかなと思うことがあります。一人才能のある優秀な人がぐいぐい引っ張るというよりは、周りに気を遣いながら、皆が歩調を合わせて、一歩、一歩前進していくのは、アマチュアの合唱団の最重要な要素の一つかもしれません。全員、高水準のメンバーが、目一杯頑張ってる合唱団の演奏と、色々なレベルの人が、一つの方向に向かって、一生懸命声を合わせている合唱団の演奏がありますが、私は後者の演奏の方がずっと好きです。