LOUNGE
談話室

溝口 正平「65の手習い・・・Jazzに悪戦苦闘」

 リタイアしたらもう一度習おうと決めていたのがピアノ。
3年前に自宅近くのY音楽教室に入学。ピアノを習うのは幼稚園以来、実に62年ぶり。
 レッスンが永続きするためには何よりも先生の魅力が第一、との自分勝手な思い込みで、不遜にも3人の講師の体験レッスンを経て先生を決めた横着な生徒。
 努力の甲斐あり?素敵な先生に恵まれたところまでは良かったが、無謀にも今まで全く無縁のジャズに挑戦。案の定レッスンは苦労の連続。
 そもそも渡された楽譜に書かれているのは、テーマとコード進行のみ、あとは真っ白。(Jazzでは当たり前の事と言うのが後で分かる。)
自由に好きなようにアドリブでと言われても、メロディは全く浮かばず。無理やりひねり出したところで、聞き覚えのあるクラシックの曲の一節に酷似。
そもそもコードの知識もなく、メロディをと言われてもしょせん無理な話。加えて元来創造性に欠けるタイプ故、Jazz本来の醍醐味、楽しみのアドリブ演奏に苦しみを覚える次第。
 さはさりながら、銀座Yホールで、1年目に”You be so nice to come home to”、2年目は”Someday my prince will come” をギター、ドラムスとセッション。すっかりライブの魅力にとりつかれ、素敵な先生との「亡き王女のためのパヴァーヌ」の連弾に心ときめかせる今日この頃。
   最近読んだ本の中で山下洋輔がピアノを弾き始めた頃の思いを書いている。
 「ピアノは好きだけど習うのは嫌。紙に書いてある妙な記号と、ここにある白黒の鍵盤の対応関係を覚えろというんでしょう。これは嫌な世界だなと、本能的に分かった(笑)。そんなことは覚えたくない。押せば音が出るのだから、それで楽しいというのが最初だった。」
 そうか、やはりJazzをやるのはこういう人なんだ、と妙に納得。
ライブハウスで興に任せて飛び入りで1,2曲サラッと演奏、なんて姿を夢見ているが、いつの事やら・・・。